大判例

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東京高等裁判所 昭和45年(ツ)82号 判決

境界確定の訴においては、裁判所はまず客観的に存在している境界線を発見することに努力し、それが不明な場合は、係争地域の占有状況、隣接両地の公簿面積と実測面積との関係、公図その他の地図、境界標識等を証拠によって確定し、それらの事実を総合して判断し合理的な理由のもとに境界線を確定すべきものである。

原審は、上告人主張の本件土地(調布市下布田六四番二畑甲地)は明治四四年一二月二三日(第一回分筆)および昭和二年一月一九日(第二回分筆)の両度の分筆の結果生じた土地であること、すなわち右第一回分筆により六四番の土地が同番の一、二、三に分筆され、六四番三の南側に六四番二が、六四番三の北側に六四番一がそれぞれ位置するようになったこと、右分筆は旧京王電気軌道株式会社が六四番三の土地を軌道用地として買収するためになされたものであること。さらに第二回分筆により第一回分筆後の六四番二の土地が同番の二、四、五に分筆され、六四番五の南側に六四番四が、六四番五の北側に六四番二(甲地)がそれぞれ位置するようになったこと、右分筆は前記会社が旧軌道を廃止し、六四番五の土地を新たに軌道用地として買収するためになされたものであること、従って甲地は第一回分筆後の六四番三(旧軌道)と第二回分筆後の六四番五(新軌道)とに南(新軌道)北(旧軌道)からはさまれた土地であること、第一回分筆後の六四番一および三の土地はその後その北側に隣接する土地(合筆前の三五番、三六番畑)(丙地)と合分筆された結果現在三五番二の土地(乙地)となっていることを認定し、甲地乙地の境界は右旧軌道の南側境界と同一であると判断し、ついで前記京王電気軌道株式会社が昭和五、六年頃軌道全線を実測して作成した実測図であると認定した乙第二号証にもとづき、これを拡大して現地にあてはめて旧軌道の南側境界線を原判決主文第二項掲記のとおり測定し、これをもって甲地乙地の境界と定めたものである。右原審の認定した事実は、当事者間に争いのない事実と原判決の挙示する諸証拠によって十分に認められ、その判断も正当として是認することができる。なお原審は、右のとおり境界を確定するときは、甲地の実測面積は四坪余となり、登記面積五八坪よりも著しく減少するのに対し、乙丙両地の実測面積は合計三六五坪余となり、登記面積三二七坪よりも四〇坪弱増加する事実を認めながらも、前示甲乙両地の沿革からして、前記実測図等の図面が最も信頼できる資料と考えられ、これにもとづく境界はほぼ疑問の余地がないから、甲地の登記面積と実測面積の相異は鑑定の結果により求積の誤りに由来するものと推測できなくはなく、何らかの誤びゆうに基くものであり、これをもってしても右境界線の認定を動かすことができない旨判断を示しているのであって、右判断も是認しえられないものではない。これを要するに、原審は、本件境界の確定については、冒頭掲記の如き占有状況や隣接地の登記面積と実測面積の相異を考慮するまでもなく、客観的に存在する境界を認定することができるとしたものであって、上告人の援用する判例にていしよくするものではなく、原判決には所論のような判断遺脱審理不尽・理由不備の違法はない。所論は、ひつきよう原審の専権に属する証拠の取捨、事実の認定を非難するにほかならず、論旨はいずれも理由がない。

(杉山孝 渡辺 小池)

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